イームズ夫妻が自邸で使用するためにデザインしたソファをもとに
改良を重ねて1954年に発表された「Sofa Compact」

設計を手掛け始めた1951年当初はスチール製のワイヤーを用いて
ソファのフレームを形成することを念頭に置いた。
ところが、この構造で商品として量産してくにはコスト面と
製造時間の観点においてパフォーマンスが悪いという結論に至る。

プロトタイプの「ワイヤーソファ」の製造過程に要した手作業工程の多くを省き、
生産コストを抑えて商品化するために三年間の製作期間を経て1954年満を持してリリースされた。

「Sofa Compact」は背もたれを座面方向へ畳み込むことができるがこれは出荷の際の輸送コストに配慮してこのように
設計されている。

当時、子どもが手を挟んでしまうなどといった事故が複数発生したことから1980年代初頭以降には背もたれが倒れないように仕様の
変更が
生じることとなる。

このように「低コスト」で家具をデザインすることに重きを置いて取り組んできたHermanMiller社であるがソファコンパクトが

この理念のもとに設計された最後の家具であるとされる。

しかし、イームズ夫妻のデザイン活動において費用対効果が高い
ということはこの後にも重要な配慮事項としてあり続ける。